清水寺の一大修復プロジェクト「平成の大改修」(2011.0701)
修復で新発見。「子安塔」の建立は定説より130年も古かった!
「子安塔」は、明治44年(1911)に現在の場所に移築され、その際の基礎はレンガだったとか。今回の修復では基礎に御影石を新調しました。写真は2層目の様子。
「新発見が何か出ないかな…」と期待しながら、上部から解体を続け、子安塔の初層(1階)から、ついに出た!墨書入りのパーツ。
使える材料はすべて再生されます。新たに接ぎ木された部分には、平成23年の焼印入り。
「子安塔」は、明治時代に一色に塗られたのですが、今回の調査で、建立当時の華やかな彩色に復元されることになりました。着彩の下地を刷毛で何度も塗り重ねます。
このプロジェクトのため、清水寺には京都府教育庁の文化財保護課の人々が常駐し、9名の宮大工、2名の建具師を中心としたチームで遂行されています。建造物は設計図が残っていないため、大工さんが上部から解体を進め、それらを京都府教育庁の人々が、ひとつずつ計測し、細部に至るまで調査・記録にとっていきます。
気の遠くなるような作業の中で、新しい発見はまさに文化財修復の醍醐味。今回、「子安塔」の全面解体の際には、小さな木組みの部材に「明応九年五月四日」の記述が発見されました。明応9年は西暦1500年にあたり、これにより、これまで寛永年間(1630年前後)とされていた建立時期が、それより130年も前の室町時代後期のものと判明したのです。
調査ではまた、使える部材の選別も行います。虫食いや傷んだ部分をチェックし、再生できるものは大工作業へ。傷んだ箇所を新しい木材で埋めたり接いだり、1~2センチ四方の小さな部分でも、手間を惜しまず地道な修復を積み重ねていきます
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