意味を知ればより深まる 清水寺「大涅槃図」拝観のツボ(2012.0120)
記録に残る「大涅槃図」制作エピソード
「大涅槃図」は、経堂にて公開しています。
清水寺の「大涅槃図」は、江戸時代の画家・山口雪渓により描かれました。雪渓の名は、雪舟や牧渓といった室町期の名絵師の水墨画を学び、一家を成したことに由来しています。享保17年(1732)、89歳でその生涯を閉じるまで、京都でたくさんの作品を生み出し、活躍しました。
当山に残る記録『成就院日記』によると、宝永5年(1708)2月13日の記事に、「当山の経堂に涅槃尊像の儀、絵師・山口雪渓、去年亥の十二月より書き初め、当子(ね)の(年)二月までに描き終わり表具出来(しゅったい)。即ち成就院後見善良房並びに下坊中寄り合い十二日に開眼供養の法事之有り候」という記載があります。
つまり1707年の12月から描き始めて2月中旬には仕上がり、2月12日には成就院をはじめとする僧たちによって法要を行ったということ。当時の絵師の仕事から想像すると、もちろん弟子たちも作業にあたったでしょうが、縦3m91cm、横3m3cmを2か月半で仕上げたとは、プロフェッショナルの技にはつくづく驚かされますね。
「大涅槃図」は平成15年(2003)に全面的に修復されましたが、この際は、約1年の歳月をかけて慎重に行われ、当時の鮮やかな色がよみがえりました。
当山では、2月15日9時より経堂にて涅槃会の法要を厳修し、法要後、「大涅槃絵」を一般公開(無料)しております。皆さまも、ぜひこのご縁にお手を合わせていただき、 当山と共にお釈迦さまを偲んでください。
*一般公開は2月15日の法要後より、例年約1週間実施。9時より16時まで入堂自由です。
- vol.15
- 地主神社の神職に聞く 音羽山に残る古代信仰の謎(2017.0413) (4)
- vol.14
- 観音さまの時間で臨み、人の時間で今日を成す ―東山の環境危機と未来―(2015.1218) (3)
- vol.13
- 観音様とともに生きた109年。大西良慶和上(2015.0213) (3)
- vol.12
- 寺、坂、我が家は一つ。最強のサポーター「清水寺門前会」(2014.0303) (3)
- vol.11
- 平成によみがえった都の霊場巡り「洛陽三十三所観音巡礼」(2013.0425) (3)
- vol.10
- 「老と死」に向き合い今日を考える―老人ホーム同和園探訪(2012.1115) (4)
- vol.9
- ご存知でしたか? 車椅子で参詣できる「バリアフリー清水寺」(2012.0717) (4)
- vol.8
- 鎮魂と復興の祈りが刻まれた大日如来坐像、清水寺へ(2012.0410) (4)
- vol.7
- 意味を知ればより深まる 清水寺「大涅槃図」拝観のツボ(2012.0120) (3)
- vol.6
- 「今年の漢字」2011年は「絆」(2011.1213) (2)
- vol.5
- 名勝「月の庭」をもっと楽しむ 成就院大特集(2011.1128) (3)
- vol.4
- 霊水パワーは信心次第 清水寺の原点「音羽の瀧」(2011.0829) (4)
- vol.3
- 清水寺の一大修復プロジェクト「平成の大改修」(2011.0701) (3)
- vol.2
- 清水寺の幕末秘話・勤王の志士を支えた漢(おとこ)たち(2011.0428) (4)
- vol.1
- 清水の舞台から飛び降りた!?(2011.0426) (3)