「老と死」に向き合い今日を考える―老人ホーム同和園探訪(2012.1115)
ともいきとは、今を一緒に生きるという共有感。
施設内にお邪魔しました。広々としたリビングにはキッチンもあり、マンションのLDKのよう。
ベッドルームは個室が基本。思い思いのインテリアで飾られています。
広い廊下は、さまざまに活用されています。こちらは入居者の皆さんが、軽い運動中。
こちらでは職員の方々がミーティング中。
お風呂のタイル画に清水寺が!蛇口はさしずめ音羽の瀧なんだそうです。
どんなに介護が難しい方でもお断わりしませんという同和園には、他の施設でお手上げになってしまった方が来られることもしばしばあるそうです。あるおじいさんは来所当初、半身不随のためオムツをつけた寝たきりの状態で、怒りっぽく誰も寄せ付けてくれませんでした。しかし大好きな映画を見に行こうと職員が何度も誘ううちに心がほぐれ、ついには「映画館に行くにはオムツではダメだ。自分でトイレに行けるようにならないと」と、自ら練習を開始。念願の映画館へ外出できるようになったそうです。気持ちが動くことで自然にリハビリができた、楽しいこと、好きなことが自立を助けたエピソードです。
また、「高齢者は、今を生きているのです」と橋本園長はおっしゃいます。そして、「同じ時間を一緒に生きる。この共有感が大切なのだ」とも。この言葉にはいくつかの意味があります。
その一つは、お年寄りだから古いもの、伝統的なものが好きだろうという先入観は持たず、今の若い人が楽しめる場所に出かけて、現代を一緒に楽しむこと。入居者の約2割が外出の可能な元気な方で、園外レクリエーションも頻繁に行っておられますが、なかでもUSJ は人気の場所で、なんと100歳のおじいちゃんがジュラシックパークライドを楽しまれたのだとか。
そして、二つ目は今という瞬間を楽しむということ。楽しかった記憶そのものをなくしてしまう認知症の方でも、その瞬間、瞬間を十分楽しめれば、食欲が増したり、よく眠れたりといった効果があるのだそう。いい今が過ごせれば、さらに気分よく過ごせる時間が延びるということなのです。
人としての尊厳をもって接し、楽しみや喜びを共有すること。これは高齢者介護だけでなく、私たち自身が心豊かに人生を送るためにも、とても大切なことではないでしょうか。
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