Vol.1 清水寺の一大修復プロジェクト「平成の大改修」(2011.0701)

時間のスケールは100年単位! 未来へつなぐ、地道な努力。


「朝倉堂」の柱。傷みの激しい下部を新しい木材に差し替え、木のくさびを打って固定。


伝統的な日本の建築技術を伝えるため、鉄パイプに加え、丸太の足場も併用しています。


部材を正確に測る「型板」。


「清水の舞台」も修復工事に向けて調査中。シロアリ被害でお騒がせしましたが倒壊の心配はありません。安心してお参りください。

時の将軍の寄進のもとに作られたためでしょうか、清水寺再建時の木材は、大変上質なものがふんだんに使用されています。「朝倉堂」の調査でも、その年輪の細かさから、そう大きくない部材であっても、樹齢100年以上の巨木を使ったことがわかっています。現在、同じ品質の木材は入手が困難で、修復現場では、木目の詰まった少しでもよい木材を調達するために、大変苦心しています。

このような状況もあり、清水寺では、数年前から境内奥の山中と、京都市北部の花背、京北、舞鶴で、ケヤキとヒノキを育成しています。まだまだ苗木の状態で、「清水の舞台」の柱に使用できるほどに生育するのは400年から500年後。将来、私たちの子孫が困らないように、清水寺を未来永劫、京の地に残すためにと、思いを込めて大切に育てています。

建築技術の伝承もまた、未来に向けた備えの重要なポイント。修復の現場では、現在、世代交代を迎え30代、40代の宮大工が中心になりつつあります。実際の修復技術はもちろんのこと、最近の建築ではすっかり鉄パイプが主流になった工事の足場も、伝統を残すために、あえて昔ながらの丸太の足場を組んで作業しています。

たくさんの人々によって守られ、支えられている清水寺。皆さまからの拝観料も、修復費用に役立たせていただいています。その額は修復にかかる総予算の約半分。お参りに来ていただいた皆さまおひとりおひとりのお気持ちに、未来まで応え続けていけるような、「丈夫で元気でいつまでも美しい」清水寺でありたいと思っています。

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