「老と死」に向き合い今日を考える―老人ホーム同和園探訪(2012.1115)
慈悲のこころで結ばれ90余年。同和園と清水寺の長くて深いご縁
京都市内東に位置する、山科・醍醐の街を一望する高台に、同和園はあります。
今回お話を伺った特別養護老人ホームの橋本武也園長(右)と、付属診療所の中村仁一所長(中央)とともに。
入り口には創立85周年に建てられた石碑があります。「和」の文字は大西良慶和上の手によるもの。
同和園は、京都仏教護国団(現在の京都仏教会)が創設した、京都府下でもっとも古い歴史をもつ老人福祉施設です。京都仏教護国団の団長であった当山の中興の祖・大西良慶和上が初代理事長を務め、創立以来、同和園と清水寺は90年あまりの長きにわたって、深いご縁を結んできました。
今回のよだん堂は、同和園の特別養護老人ホーム園長・橋本武也先生を訪ねてお聞きした、その歴史や現在の事情などの高齢者介護にまつわるさまざまなお話をご紹介しましょう。
同和園はいわば、京都のお寺とお坊さんが作った施設。社会福祉法人となった現在も、理事長はもちろん橋本園長や多くの役員が僧籍をもっておられるのだそうです。
園では特に宗教・宗派にこだわってはおられませんが、日々のケアの根本に「お世話をする」といった上からの目線ではなく、「高齢者を支え、生活の喜びを共有することで、支える側も人生の大切な宝を得る」という「ともいき=ともに生きる」の仏教思想が息づいています。
さらに看取りから葬儀、納骨、その後の永代供養までのすべてを園内で行っておられるのも、仏さまの教え「慈悲のこころ」に基づいた施設だからこそ。同和園で生涯を終えられた8割の方がここで眠っておられることからも、この地はまさに「終の棲家(ついのすみか)」といえます。信仰がもたらす安らぎが、設備やシステムだけではない同和園の大きな魅力であり、特徴なのでしょう。
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