霊水パワーは信心次第 清水寺の原点「音羽の瀧」(2011.0829)
三つの瀧に込められた意味とご利益
中世には、すでに瀧は三つに分かれていました。
この石の足場は「お瀧」のためのもの。瀧に向かって正面を向いて行います。
瀧の前の建物にかけられている「お瀧」の方へのご注意札
三つの瀧の霊水には、学問、健康、縁結びのご利益があるといわれていますが、長い歴史の間には、たくさんの説や意味が生まれ、それぞれの時代で篤く信仰されてきました。
古くは菩薩さまの「功徳水」、心身を清める「金色水」、長寿の「延命水」として。江戸時代には仏教の教えを含んだ解説もよく用いられ、「仏・法・僧の三宝への帰依」「三大煩悩といわれる貪欲・瞋恚(怒りやうらみ)・愚痴(真実に対して無知であること)の浄化」「人間の根本的な三つの行為、身(行動)・口(言葉)・意(こころ)の清浄」などが代表的です。さらに『観音霊場記図会(かんのんれいじょうきずえ)』には「中は利得、右は智慧、左は慈悲。観音の三体とす」という記述も残っています。
「音羽の瀧」はまた、瀧の下で心身を清める水垢離(みずごり)の行場でもありました。当山を開かれた行叡居士(ぎょうえいこじ)は、長年の行によって200歳を超える長寿を保ったと『清水寺縁起』に記され、中世には修験道の瀧行も盛んに行われました。瀧の足元に並んだ3か所の石はその足場です。
行は修験者だけでなく、一般の信者の方にも広まり、現在も「お瀧」と呼んで、行を続けておられる方がいらっしゃいます。
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